医療費が高額になったとき

高額療養費について

自己負担する医療費が高額になって家計を圧迫することのないよう、一定額以上の医療費は保険で負担する、という目的で設けられたのが高額療養費制度です。

【ポイント1】
1か月の医療費の支払いが一定の限度額を超えた場合

医療機関で1か月の窓口負担が一定の限度額を超えると、超えた分が高額療養費として健康保険組合から支給されます。

ただし、70歳未満の人と70歳以上の人では次のように限度額が異なります。

70歳未満の人の場合

窓口負担が自己負担限度額を超えたとき、超えた分が高額療養費としてあとから払い戻されます(償還払い)。なお、マイナ保険証を利用すれば、限度額適用認定証等は不要で、マイナ保険証だけで高額療養費における自己負担限度額を超える支払いが免除されます。

マイナ保険証をぜひご利用ください。

オンライン資格確認を導入している医療機関である必要があります。

現行の「保険証」または「資格確認書」で受診する場合は「限度額適用認定証」または「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証」をご利用ください

入院や外来診療等で高額な医療費がかかるときは、「限度額適用認定証」または「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証」をご利用ください。

医療機関等の窓口に「「保険証」または「資格確認書」」と「限度額適用認定証」または「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証」をご提示いただくことで、医療機関等の窓口で支払う費用は償還払いではなく高額療養費の自己負担限度額までとなります。この「限度額適用認定証」または「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証」を利用すれば、一度に多額のお金を立て替える必要がなくなります。

交付対象となる人(以下の条件をすべて満たしている人)

  • 健康保険組合の被保険者・被扶養者
  • 70歳未満の人(上位所得者・一般)、もしくは70歳未満および70歳から74歳で低所得者(市町村民税非課税世帯)に該当の人
  • 入院中・外来診療中またはその予定がある人
  • 高額療養費に該当する見込みがある人
70歳から74歳の人について(現役並み所得者・一般)
医療機関等の窓口に高齢受給者証と保険証「「保険証」または「資格確認書」」(低所得者の人は「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証」)をご提示いただくことで支払う費用は自己負担限度額までとなります。

関連手続き

「限度額適用認定申請書」または「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証」に必要事項を記入し、健康保険組合まで提出してください。後日、「限度額適用認定証」または「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証」を交付します。

「限度額適用認定証」または「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証」の提示がない場合は、一旦医療機関へ支払い、自己負担限度額を超えた分があとから払い戻されます。

同一世帯で同じ月に21,000円以上の自己負担が複数あるときは、それらを世帯合算して自己負担限度額を超えた額が高額療養費として支給されます(世帯合算高額療養費)。

表1
区分 所得要件 自己負担限度額
標準報酬月額
83万円以上
252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
標準報酬月額
53万~79万円
167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
標準報酬月額
28万~50万円
80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
標準報酬月額
26万円以下
57,600円
低所得者
(市町村民税非課税)
35,400円

70歳~74歳の人の場合

すでに後期高齢者医療制度の対象となっている人は該当しません。

外来は、個人ごとに計算し限度額(A)を超えた分が払い戻されます。入院は、限度額(B)までの支払いとなります。同じ世帯内で外来と入院がある場合は、外来と入院の負担を合算して限度分(C)を超えた分が払い戻されます。

表2

この表は右にスクロールできます。

区分 所得要件 自己負担限度額
A 外来
(個人ごと)
B 入院、C 外来+入院
(世帯単位)
現役並み所得者 標準報酬月額
83万円以上
252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
標準報酬月額
53万円~79万円
167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
標準報酬月額
28万円~50万円
80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
一般 標準報酬月額
26万円以下
18,000円
年間上限14.4万円
57,600円
低所得者
(市町村民税非課税)
II 8,000円 24,600円
I 15,000円
標準報酬月額28万円~79万円の人は「限度額適用認定証」(健康保険組合に申請して交付を受けます)を提示することで、医療機関への支払いが償還払いでなく自己負担限度額までとなります。
昭和19年4月1日までに生まれた人は、窓口負担は1割となります。
昭和19年4月2日以降に生まれた人は、窓口負担は2割となります。
現役並み所得者… 標準報酬月額28万円以上の人。
ただし、上記に該当する人でも、年収が一定額未満(単身世帯の場合:383万円未満、2人以上世帯の場合520万円未満)の人は健康保険組合の担当窓口への申請により1割または2割負担となります。
新たに現役並み所得者となる70歳以上の人は、同一世帯の後期高齢者医療制度に移行した人との年収の合計が520万円未満であれば、申請により自己負担割合が1割または2割となります。
低所得者については、「診療を受けるとき」をご参照ください。
月の途中で75歳の誕生日に到達すると、誕生月において、移行前の健康保険と移行した後期高齢者医療制度が2分の1となります。

【ポイント2】
同じ世帯に70歳未満の人と70歳~74歳の人がいる場合

  1. 「70歳~74歳の人」の払い戻し額を計算します(表2をご覧ください)。
  2. 1.の払い戻し額を除いた負担額と「70歳未満の人」の負担額を合算して自己負担限度額(表1)を超えた分が世帯の払い戻し額となります。
  3. 1.と2.を合わせた額が世帯全体の払い戻し額となります。

【ポイント3】
同一世帯で高額療養費の支給を受けた月が年4回以上あった場合(多数該当)

同一世帯で複数の人が、高額療養費の支給を受けた月が1年に4回以上あった場合は、4回目からは下表の区分に応じた金額を超えた分があとから払い戻されます。

70歳未満の人

区分 所得要件 自己負担限度額
標準報酬月額83万円以上 140,100円
標準報酬月額53万~79万円 93,000円
標準報酬月額28万~50万円 44,400円
標準報酬月額26万円以下 44,400円
低所得者
(市町村民税非課税)
24,600円

70歳~74歳の人

所得要件 自己負担限度額
標準報酬月額83万円以上 140,100円
標準報酬月額53万~79万円 93,000円
標準報酬月額28万~50万円 44,400円
標準報酬月額26万円以下 44,400円

【ポイント4】
特定の病気で長期療養が必要な場合

血友病および人工透析が必要な慢性腎不全については、「特定疾病療養受療証」を病院の窓口へ提出すると1か月10,000円(人工透析が必要な標準報酬月額53万円以上の人は20,000円)以内の支払いで済みます。ポイント1、2のケースと違って、この場合はあとで払い戻すという方法はとりません。健康保険組合が直接病院へ支払うことによって患者の窓口の支払いが10,000円(人工透析が必要な標準報酬月額53万円以上の人は20,000円)以内で済むことになっています。受診の際は「「保険証」または「資格確認書」」のほかに「特定疾病療養受療証」が必要です。

マイナ保険証で受診する場合は、受療証は不要です。

高額療養費の対象となる自己負担額の計算基準

暦月ごとに計算

月初めから月末までの受診について1か月として計算します。

入院と外来

1つの病院、診療所でも、入院と外来は別に扱い、合算しません。

病院・診療所ごとに計算

2つの病院・診療所へ同時にかかっているような場合でも、両方へ支払った金額は合算しません。

歯科は別

病院、診療所に内科などの科と歯科がある場合、歯科は別の病院、診療所として扱います。

入院中の食事代

入院中患者が負担する食事代の一部負担金は、「自己負担額」には含まれません。

70歳~74歳の人は、各診療科、病院・診療所、入院・外来、歯科を別々に計算せず、すべての支払いを合計した額が対象となります。

高額医療・高額介護合算制度

世帯内で健康保険・介護保険の両保険から給付を受けることによって、自己負担額が高額になったときは、健康保険・介護保険を通じた自己負担限度額(8月~翌年7月までの年額)が適用されることになります。

所得区分 健康保険+介護保険
(70歳~74歳がいる世帯)
健康保険+介護保険
(70歳未満がいる世帯)
標準報酬
83万円以上
212万円 212万円
標準報酬
53万~79万円
141万円 141万円
標準報酬
28万~50万円
67万円 67万円
標準報酬
26万円以下
56万円 60万円
低所得者Ⅱ 31万円 34万円
低所得者Ⅰ 19万円
自己負担限度額を超える額が500円以下の場合は支給されません。

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